モロッコの夜の砂漠行進|みんなの旅話

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モロッコの夜の砂漠行進

Maya さん

2024/05/21 投稿

 

社会人5年目に会社を退職し、念願だった世界一周の旅に出ました。

高校生の時に世界史が大好きだった私は、
教科書の資料集で見た世界遺産の数々に感銘を受け、
いつか多くの世界遺産を訪れてみたいと考えていました。

世界一周の旅でもっとも印象に残った国のひとつが、
アフリカ北西部のモロッコです。

首都マラケシュなどのバザール(市場)など賑わいの多い観光地や、
青色の町が有名な都市シャウエンなど数多くの魅力的なエリアがいたるところにある国です。

古来からのアフリカの文化と、ベルベル人の文化、そしてイスラム文化が混在し、
また海峡を渡った先のヨーロッパ文化や、
植民地時代のフランス文化などの多くの文化がこの地を染めてきた歴史があります。

街のあらゆる場所でその文化のミックスされた景色を見ることができ、
とても刺激的な経験を楽しむことができました。

その中でも私がとても気に入った場所として、
砂漠地帯に近い世界遺産アイト・ベン・ハッドゥがあります。

こちらは、モロッコ内の交易の中継地として栄え、
要塞のようにできた集落の地域です。

また、このエリアからはサハラ砂漠観光を楽しめるような拠点があり、
私が経験したデザートキャンプ(砂漠キャンプ)は、
一生のうちで忘れられない経験となりました。

日中の砂漠では、ラクダに乗せてもらい、
どこまでもどこまでも続く砂漠の海を、
ラクダの背中のリズムでこっくりこっくりと進んでいきました。

キャラバン隊のエッセンスを感じながら、
はるか遠くの国まで繋がった文化やその歴史に酔いしれました。

夕暮れが砂漠を包み込み、
イスラム教のお祈りのアザーンの音が世界全体を覆うように流れていくと、
しだいにオレンジの夕焼けがグラデーションとなり、
深い青色の空に三日月の月明かりだけが砂漠の上に浮かぶ時間となります。

その中をなんの明かりも持たず、
ただ月明かりが世界全体をぼうっと照らしてくれているのを頼りにして、
砂漠の中にあるキャンプ地を目指します。

この砂漠でのキャンプはデザートキャンプと呼ばれ、
砂漠の民であるベルベル人たちの生活を疑似体験できるという
観光客に人気のアクティビティです。

私以外の観光客もそのエリアの観光に来ていましたが、
たまたまその日にキャンプ場へ向かう観光客は、私一人でした。

そのため、砂漠の海をガイドのムハンマドさんと一緒に
たった二人きりでずんずん進んでいくことになりました。

防犯上も少なからず緊張して注意をしていましたが、
出発から数分するともう自分自身が砂漠のどこの地点にいるのか、
どのくらいの距離をどの方角に歩いているのかもわからなくなりました。

ガイドさんへの信頼だけでどんどん進み、
ひたすら砂に足を取られながらも、
その砂のサラサラとした気持ちよさに感動しながら歩いていきました。

しかし、ガイドのムハンマドさんは、
時折「サソリが出るかもしれないから気をつけて。」
などと親切にも教えてくれるので、また私は緊張が昂り、
ビクビクしながらもその非日常感を楽しんでいました。

そして、夜が深まっていくごとに、
空の色もどんどんと濃い紺色に染まっていくので、
キラキラと無数の点で星が輝いているのが見えるようになってきました。

これが私の経験した旅の中の一番美しく、
壮大で、忘れられない瞬間となりました。

砂漠にいる自分は、
地平線に囲まれた半分の球体の真ん中にいるような一人の存在で、
地球から見たまあるい天界の空に包まれているように感じました。

その風景が一生のうちで最も印象深い景色となりました。


旅トクアドバイス

モロッコは比較的多くの観光地を効率良くまわれるサイズの国だと感じました。主にはバス移動になるので、バス会社が各都市を運行しているスケジュールに合わせて旅を組むとよいと思います。治安はやはり警戒するべき場所は多くありますが、対策をしていれば女性ひとりでも旅が可能ですし、優しい人にも出会うことができます。また、現地で他の観光客の方とも触れ合うことができ、旅好きの人を魅力する素敵な国だと思います。