助けてくれた黒モン族
キノ さん
2022/07/04 投稿
ベトナムのサパに行った時のこと。
黒モン族、赤モン族、ザオ族、ザイ族など
少数民族の住むタヴァン村へ行くことにした。
サパからは約10km。平坦な道だと知る。
ガイドもつけずに歩いて向かうことにした。
それが間違いだった。
確かに平坦な道だ。しかし舗装のされていない土の道が続き、
歩くに連れてぬかるんだ部分が増えてくる。
進めば進むほど歩いてる人は見かけなくなる。迷子だ。
サパからは一本道なので、正確には迷子ではなく、
不安からくる心の迷子だ。もう大分歩いてしまった。
引き返そうか進もうか悩む。半ベソになりながら歩いてると、
オートバイに乗った初老の男性が停まってくれた。
黒モン族だった。
男性にお願いをして、タヴァン村まで乗っけてもらえることになった。
自分の軽率な行動と甘さに深く反省をした。
タヴァン村へ着くと美しい絶景が待っていた。
見渡す限り緑色に輝く水田、岩だらけの川、
民族衣装を着た人々、どこか懐かしい素朴な家が転々としている。
村へ入るためには岩だらけの川を渡り、
ほぼ90度の滑りやすそうな斜面を登らなければならない。
村を前にして心が折れた。
川の前で右往左往していると、物売りの女性たちに声を掛けられた。
アラフォーの私より年上に見えるが、
毎日自分の足で川を渡って仕事をしているプロだ。
その内の二名の女性にお願いをして、
一緒に川を渡ってもらえることに。
その女性たちも黒モン族だった。
子どものように両手を繋いでもらい、ウサギのように岩の上を跳ね、
栄養ドリンクのCMを彷彿させるような、
崖の上から手を伸ばし引っ張って、登るのを助けてくれた。
村へ着くと少しの間、二人が道案内をしてくれた。
『帰りはどうするの?』と聞かれ、
『タクシーを探したいけど、あるかな?』と答えると、
一人の女性が旦那さんに電話を掛け、
観光の後に街まで送ってもらえることになった。
その後、一人の女性は川の向こうへ戻り、
もう一人と村のはずれまで歩いた。
しばらく歩いてると、オートバイに乗った旦那さん登場。
3ケツをしながら家まで向かう。
途中、娘さんが通ってるという学校へ寄り、
娘さんを紹介してくれた。
家に着くと、民族衣装を着た高齢の女性たちが庭先に座っていた。
日本人だと伝えると、日本語を少し知ってると言い、
『ヤスイヨ』『カッテ』『オカイドク』と、
知ってる日本語を満面の笑顔で教えてくれた。
貴重な体験をした帰り道、
黒モン族の旦那さんのオートバイの後ろに乗り、
夕焼けが沈んでいくのを見ながら街に戻ることができました。
本当に感謝しかないです。ありがとうございました。
旅行に慣れてきた頃が最も危険に遭いやすいので、常に初心を忘れずに、安全対策をしっかりとして旅行を楽しみましょう。