埃をかぶったスノードームと店番くんと満面の笑顔|みんなの旅話

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埃をかぶったスノードームと店番くんと満面の笑顔

つんつこ さん

2024/09/04 投稿

 

私はその日の午後、マチュピチュ遺跡の麓にあるアグアスカリエンテス村、
別名マチュピチュ村を、
午前中のワイナピチュ登山で疲れ切った身体をひきずりながら歩いていました。

すると、小さな商店のショーウィンドウの片隅に置かれている
スノードームが目に留まりました。


お世辞にもきれいとは言えない、
埃をかぶったショーウィンドウに置かれた埃をかぶったスノードーム。


おそらく何年もの間
このスノードームはずっとここに置かれたままで、
店主にすら忘れ去られているんだろうな、
と思いながら私は一度はその商店を後にしました。


しかしなぜかそのスノードームのことが気になり、
誰にも気づいてもらえないなら私が日本に持って帰ろうと思い、
一度は後にした商店に引き返し中に入ると小さな男の子が店番をしています。


小さいのに偉いなと思いながら私はかわいい店番くんに、
?Cuanto cuesta esto? これはいくら? と聞いてみると、
その男の子は、 No se cuanto cuesta esto. いくらなのか知らない。
と言うではないですか。


私は店番くんの返答に思わず吹き出しながら、
どうしたものかと思いを巡らせつつ、店主の帰りを待つことにしました。


しばらくすると、おそらく店番くんの母親だと思われる女性が帰還。


私は女性の姿を見た途端
お役御免と外に飛び出していった店番くんを見送りながら、
その女性に改めてスノードームの値段をたずねてお金を支払うと、
女性はスノードームを丁寧に紙で包みビニール袋に入れ、
満面の笑顔で私に手渡してくれました。


帰国してスノードームの状態を確認してみると、
スノードームを包んだ紙は湿り
ドームの中の水は半分の量に減少し中のオブジェも傾いています。


随分と長い間陳列されていたであろうスノードームは、
南米から日本への長旅には耐えられなかったようです。


帰国してからしばらくは、
水が半分の量になった状態のままでスノードームを飾っていましたが、
やはりちゃんと直してあげようと思い、
ネットで修理方法を調べ、
スノードームを分解、液体のりを加えて
若干のとろみをつけた精製水とスノーパウダーをドームに入れて、
ドームにオブジェを接着剤で固定。


するとスノードームは見事に生まれ変わったのでした。


私はスノードームの収集が趣味で、
旅行に行くたびにスノードームが増えていきます。


どのスノードームにも旅先での思い出が詰まっていますが、
このマチュピチュ村で埃をかぶっていたスノードームは、
マチュピチュでの思い出だけでなく、
かわいい店番くんと、店番くんの母親であろう女性の満面の笑顔を
これからも私に思い出させてくれることでしょう。


旅トクアドバイス

マチュピチュ村のお土産屋さんや小さな商店に置かれている商品には値札が付いていないのでいちいち値段を確認する必要がありますが、お店によって値段が違うので店主とのコミュニケーションだと思い一つ一つ確認しながら買い物をするのも旅の一コマです。