最果ての地フィステーラの夕日|みんなの旅話

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最果ての地フィステーラの夕日

わっしょい さん

2022/04/08 投稿

 

スペインのカミーノ・デ・サンティアゴの思い出。
※カミーノ・デ・サンティアゴとはクリスチャンの巡礼の道。

日本のお遍路のクリスチャンバージョン。
いくつかの道があるが、今回私はフランスの道を歩いた。

旅の初めはフランスのサン=ジャン=ピエ=ド=ポール。
この町で巡礼者たちは巡礼の旅路を記録するパスポートを発行する。

目指すゴールはサンディアゴ=デ=コンポステーラ。大きな大聖堂である。
巡礼者は約900kmの道のりを歩きながら、各町で教会を訪れミサを受ける。

教会や宿(アルベルゲと呼ばれる巡礼者用の安宿が点々としているため、
泊まる場所に困ったことはなかった)にはパスポート用のスタンプがあり、
管理者に一人ひとり押してもらうことで徒歩で巡礼をした証を記していく。

私が巡礼したのは2014年の夏。
パリから電車とバスでサン=ジャン=ピエ=ド=ポールまで移動して、
パスポートを手にした時はホッとしたと同時に明日から始まる冒険にドキドキしていた。

1日に何キロ歩こう。どこでご飯を食べよう。宿は何時頃から入るものか。
お風呂や洗濯はどのタイミングで、、、?と分からない事だらけ。

でも周りにいた全ての巡礼者達も同じでした。
耳を澄ませると明日の目的地で揉めているカップルや、
荷物を減らせないかと相談しているグループも。

周りの人と「どうしたらいいと思う?」と相談しながらの旅がスタートしました。
この旅で素晴らしかったのは、巡礼者達が通りすがり際に
「Buen Camino」(よい巡礼を)と挨拶を交わす事だ。

追い越す時も、すれ違うときも、街の人とも、宿の人とも。
毎日果たして何人の人と「Buen Camino」と言い合ったのだろう。

一人で歩き、時には疲れていたり、暑さにバテていた時もあった。
そんな時に満面の笑みで「Buen Camino」と言われるとこちらも笑顔で返せる。

何だかエネルギーが湧いてくる。そんな魔法の言葉のように感じた。
カミーノ・デ・サンティアゴに来るまでは、
きっとどの巡礼者たちも「Buen Camino」なんて言ったことが無いはずだ。

なのに、この道に足を踏み入れた瞬間から何百回も口にして、他の巡礼者と交流する。
国も年齢も性別も越えて色々な人と関わるきっかけをくれた言葉。

満足に意思疎通は出来なくても繋がりを持たせてくれた言葉。
900km歩き切った頃には随分たくさん顔見知りが出来ました。

それも「Buen Camino」この言葉のおかげだな。
そんなことを考えながら眺めた最終日の夕日。

出会ったたくさんの人達の顔が次々と思い出され、
懐かしむとともに、巡礼の終わりが惜しく感じました。

まだずっとこのまま歩いていたい。 それが巡礼を終えた日の感想でした。

みなさんもいつか機会があれば、900kmの巡礼の先のこの景色ご覧になってください。
きっと沢山の人と交わした「Buen Camino」が思い出されることでしょう。

旅トクアドバイス

900kmの道のりは長いです。ガイドブックには様々な持ち物が書かれていますが、私は3日目に思い切って色々と捨てました。 買い足しながら旅は出来るので、シャンプー類やタオル類も最低限に。毎日晴れていれば服も干しながら歩けます。 身軽になってからは歩くペースも上がり楽でした!