ここに地終わり海始まる
くじら さん
2022/08/06 投稿
20歳の誕生日に、ポルトガルのロカ岬に行きました(もうかれこれ27年前。。)
宮本輝さんの「ここに地終わり海始まる」という小説が好きで、
以前から行ってみたいなあと思っていた大学時代、
ちょうどヨーロッパに一年留学できたので時期を合わせて訪ねました
とても有名な場所ではありますが、ほんっとに何もない、
打ち捨てられた最果ての地という感じです。
よくわからないポルトガル語でローカルバスに乗り、
本当につくのかなあ
(当時はネットとか有りませんからね!地球の歩き方が唯一の情報源です)
という不安を抱えながら、やっと眼の前が開けて
岬の先に小さな灯台と、その先にキラキラとした丸い水平線が
見えてきたときはとても感動しました。
ONDE A TERRA SE ACABAR E O MAR COMECAR
(ここに地終わり 海始まる)
小説の通り、ポルトガルの詩人カモンイスの叙事詩
「ウズ・ルジアダス」の第3歌第20連の一節が書かれた石碑がポツン、
とあって優しい春の潮風が吹いていました
大きなヨーロッパ大陸が自分の背中で終わり、目の前には大西洋が広がっている。
まさに境界線に、20歳の節目に立つことができて
とても感動しました。
本当に地球は丸く、水平線が緩やかにカーブを描いていました。
そこを白い小舟が手前から向こう側へと徐々に進んでゆき、
次第にかすみ、最後には地球の縁に落ちて見えなくなる様子を
ずっと眺めている。。。。
あれから四半世紀が過ぎて、あの頃では考えられないくらいのスピードで
世の中が変化しました。
旅好きとしては、コロナが蔓延し、簡単に旅行もできない昨今を
とても悲しく感じています。
インターネットのない時代に、
自分の勘と体力でガンガン体験していった一人旅行体験は、
今でも自分のコアの部分にしっかりと残っていて、、、
あの時に見たモノ、出会った人、
体験した数々の楽しかったことやとんでもないハプニングも、
大切な私の宝物です。
今ではもう、あんな泥臭い旅はもうできないかもしれません。
大学時代に23カ国を旅して、世界を巡れたことは、
今九州の田舎町でローカルこの上ない生活をする今でも、
広い視点を持つことに役に立っています。
取りも直さず狭くなりがちな地域コミュニティの価値観にも
影響されないコアな部分を保てています。
ロカ岬の何もない風景を思い出す時、
その頃のひりひりするような思い出が蘇ってきます。
価値観のベースを作ってくれたあの場所に
また行きたいなと思います。
好みによるとは思いますが、ツアーよりも旅先で行きたいところを決めるのが、現地を楽しみ尽くすポイントだと思います