騙されインド旅の中でみた優しさ
タッキー さん
2024/07/10 投稿
旅人なら必ず一度は訪れたい国、それがインド。
私たちもその魅力に惹かれて、一歩足を踏み入れました。
しかし、初めてのインドは困難の連続でした。
タクシーの運転手には不当な料金を請求され、
市場の商人には粗悪な商品を高値で売りつけられました。
そして、親切そうに見えた人々にさえも騙され、
心は折れそうになりました。
旅行初日から次々と襲いかかる困難に、
私たちは疲れ果て、インドに対する期待は失望に変わっていきました。
そんな私たちの心がさらに重くなる出来事がありました。
ある日、市場で出会った親切そうな男が、
「地元の隠れた名所を案内してあげる」と言ってきました。
半信半疑ながらも、その言葉に少しでも希望を見出し、
彼の案内で街を回りました。
しかし、最終的にはその男に大金を騙し取られる結果となり、
私たちの失望は深まりました。
「もう二度とインドなんかに来るものか!」と心に誓った旅の終盤、
私たちが予約したゲストハウスは住宅街の中にありました。
地図も役に立たず、迷いながらようやく辿り着いたその場所。
時刻は深夜を過ぎ、チェックインの時間もとっくに過ぎていましたが、
ゲストハウスの主人は私たちを温かく迎え入れてくれました。
「ご飯は食べましたか?」「シャワーで汗を流しておいで」
「エアコンは自由に使ってください」「明日の移動手段は確保していますか」
「他に何か私にできることはありますか?」
彼の一つ一つの言葉が、どれも心に沁みる優しさで満ちていました。
インドでの困難を経て疲れ果てた私たちにとって、
その言葉はまるで救いの手のようでした。
思わず私は主人に尋ねました。
「なぜそこまで優しくしてくれるのですか?」
主人は静かに答えました。
「確かに、インドには観光客を騙す人間もいる。でも覚えておいてほしい。
インド人全員が悪人ではないんだ。
人種で判断せず、一人一人の人間を見て判断してほしい。」
その言葉は、私の心に深く刻まれました。
彼の言葉は単なる慰めではなく、
私たちにとってインドの新しい一面を見せてくれるものでした。
インド人全員が悪人ではなく、
親切で温かい心を持つ人々も多いのだと知り、
私たちの心には少しずつ希望が戻ってきました。
翌朝、私たちは主人の勧めで地元の小さな寺院を訪れました。
そこで出会った僧侶たちは私たちを温かく迎え入れてくれ、
インドの文化や習慣について詳しく教えてくれました。
彼らの優しさと誠実さに触れることで、
私たちはインドの美しさを再び感じることができました。
インドの旅が終わる頃には、私たちは初めての困難を乗り越え、
新たな視点でインドを見つめることができるようになっていました。
もちろん、騙されることもありましたが、
それ以上に多くの人々の優しさに触れることができました。
そして何よりも、
インドの多様な文化と深い歴史に対する敬意と感謝の気持ちを抱くようになりました。
この経験は、私たちにとって非常に貴重なものとなりました。
旅の初めには感じられなかったインドの魅力と人々の温かさを、
今では心から感じることができます。
インドは確かに困難も多い国ですが、
それ以上に豊かな文化と心温まる人々がいる国でもあります。
その言葉は、私の心に深く刻まれました。
そして、その主人の言葉を胸に、私たちはインドの旅を続けることができました。
困難を乗り越えた先に待っていたのは、
真のインドの姿と、そこに生きる人々の温かさでした。
インドの旅を通じて得たこの経験は、
私たちの人生において忘れられないものとなりました。
私たちはインドを後にする際、再びこの地を訪れることを誓いました。
そして、その時には、もっと多くのインドの魅力を発見し、
さらに深くこの国を理解できることを願っています。
インドの旅は私たちにとって、困難を乗り越える勇気と、
他者を信じる心の大切さを教えてくれました。
人を見てその国を判断すること。