外国で感じた温かさ
木のマリオネットさん
2018/09/10 投稿
チェコにひとり旅をしたときのお話です。
当時20代の私は、初ヨーロッパ、そして初チェコ。 英語もロクに話せないのに、勢いで訪れました。
初めて見るヨーロッパの街並みに感動し、たくさん写真を撮って歩きました。
ずっと訪れてみたかったチェスキー・クルムロフ。
この小さな街は、子供の頃に読んだ絵本のモデルの街で、子供のころからずっと憧れておりました。
チェスキー・クルムロフをゆっくり歩きながら楽しんでいると、突然貧血のような症状が起こり、めまいで急に歩くことができなくなり、道端にしゃがみこんでしまいました。
後から思えば、ですが 憧れの場所に来て、知らず知らずのうちにテンションが上がっていたのだと思います。
知らないうちにたくさん歩いて、水を飲むことや食事をすることも忘れていたように思います。
しかし当時の私はそのようなことに思いが至らず、普段は貧血と無縁なのになぜという焦りと、外国で突然身体が動かなくなる怖さ、私はいったいどうなってしまうのだろうという恐怖心でいっぱいでした。
そんな時、ひとりの中年女性の声が聞こえました。 彼女はおそらく地元の方で、チェコ語で声をかけてくれました。
私はチェコ語がわからないので、何を言っているのかはわかりませんでした。
しかし、彼女の表情や声のトーンから、私を心配して声をかけてくれたことは充分に伝わりました。
私はめまいでろくに自分の症状を伝えることができなかったのですが、彼女はそれを察して近くの、察するに彼女の知り合いのお店に声をかけてくれました。
私はそこで少し横になることができました。
そのまま意識が遠のいて、気が付いたのはそれから30分後でした。 おかげで体調はだいぶ回復しました。
その後、助けてくれた彼女を店内で探しましたが、姿が見当たりません。
お店の人に「助けてくれた彼女はどちらへ?」と尋ねたところ、もう行ってしまったとのこと。
彼女にもお店の方にもお礼をしたいと申し出ましたが、それはいいよとかたくなに拒否されました。
外に出てからも彼女の姿を探しながら歩いてみましたが、見つけられませんでした。
お礼を言えなくて本当に悔しい気持ちでいっぱいでした。 今もその気持ちは残っています。
しかしながら、彼女の温かさに触れたことが、忘れられない旅の想い出となりました。
私ももし日本で同じような状況に遭遇したら 日本語が通じないかも・・・というところで躊躇せず 心は通じる!という気持ちで助けたいと、今も思っています。
●コメント
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【 広報チーム さいとぅ さん】
助けてくれながらお礼なんていらないというお二方、なんだか粋というかかっこいいですね!
これはじ~んときました。