乗り損ねた帰国便
えせバックパッカーさん
2017/03/06 投稿
大学の土日休みを利用して人生初の海外旅行、行き先はフィリピン。
3日間フィリピンをひとり旅をする予定だった。
初めての海外でそれも一人きり。
フィリピンでは到着直後にタクシーでボッタクられたり、夜の街で怖い目にあったりと海外の洗礼を受ける。日本とはなにからなにまで違う。
首都なのに街灯が暗いし少ない。
道路脇にゴミがたくさん積んである。
ポイ捨てされ放題。
タクシードライバーは平気で騙してくる。
宿泊したホテルの隣では若者たちが大勢で集まってどんちゃん騒ぎしている。雰囲気も悪い。なんか臭い。なにこれ怖い。
同じアジアなのに日本と全然違う。
旅の初日でナーバス全開だった、正直すぐにでも日本に帰りたかった。
でも悪いことばかりでもなかった。
フィリピンの離れ小島であるセブ島では、ジンベイザメと泳げる場所があり、日本からツアーを申し込むとそれだけで1万円以上取られるが、自力でそこまで行けば3000円くらいで済む。
自分もなんとかそこに辿り着きジンベイザメと並んで泳いだ。
海底が20mほどの深さがある場所で一緒に泳ぐのだが、エメラルドグリーン色をした海がとても澄んでいて、海底まで綺麗にハッキリ見える。
手を伸ばすと触れてしまうほどの近さで泳ぐジンベイザメと、周りを泳ぐ魚の群れも見れた。
どれも日本では見ることのできない海外ならではの体験だった。
セブ島はリゾート地として有名だが、都市部の海は船が行き来したり、人が多くてゴミもあったりしてあまり綺麗じゃない。
しかし、ジンベイザメがいる場所はセブ島の端っこで人も少なく、なにより海が綺麗。オススメである。
そんなこんなで旅の最終日。
悪徳タクシードライバーとの戦い方も分かってきて、日本人用ツアーの力も借りずに色々な所をまわるうちに、旅に出る前より少しは自分も成長したんじゃないかと自信がついてきた。
もう怖いものなんてないぜ!と思っていた矢先、日本へ帰る飛行機に乗り損ねた。
セブ島からフィリピンの首都マニラの空港へ戻り、そこから愛しの日本に帰るはずだった、が、セブ島からマニラへ飛ぶ便がなぜか1つ後の時間帯の便と合併することになったらしく、到着予定時刻を大幅に遅らせた。
その結果、日本帰国便の出発ギリギリにマニラに到着し、大急ぎで国際空港に向かったが着いた頃には手遅れだった。
時刻は夜中の2時。 もちろんホテルの予約もないし、その時は予約なしの宿泊なんて怖くてできなかった。
空港のwifiもあってないようなもので使えない。旅の疲れで眠たい。
パニックになりながら空港のオフィスにかけあっていた所に、同じく日本への便に乗り損ねたフィリピン人のマリーさんに出会う。
空港の係員に次の日の夜まで飛行機がないと言われ、行くあても無くアワアワしていたら、マリーさんが行くあてがないならウチに泊まりに来ないかと誘ってくれた。
知らない人について行くなと小さい頃親に言われたのを思い出した。
でもマリーさんは帰国便に乗り損ねた同じ穴のムジナだ、悪い人にも見えない。ここは信じてお世話になってしまおう。
しばらくするとマリーさんの家族が空港まで車で迎えに来た。
そこから1時間ほど車を走らせて、夜更け前の4時ごろにマリーさんの実家に着いた。
マリーさん自身は日本に住んでいて日本人の旦那さんがいるそうで、里帰りでフィリピンに来ていたらしい。
その後、部屋の一室を借りてベッドに横たわり、次の日の昼までぐっすり眠った。
フィリピンに来てからは朝早くホテルを発つし、夜は恐怖でなかなか寝付けなくてあまり寝れてなかった。
マリーさんの家でフィリピンに来て初めてゆっくり眠れた。
マリーさんの家族は兄弟が沢山いて気さくに話してくれた。
日中は家の近所を案内してくれて、オヤツやココナッツと晩御飯までご馳走になった。
フィリピンでは暑い日が多く、汗で塩分が流れてしまうため食事の味付けをしょっぱくして塩分を補うんだそう。
帰る時間になって家族の皆さんと記念撮影をして、空港まで送ってもらい別れた。
マリーさんは成田行きで自分は中部行きのためマリーさんとも空港でお別れ。 本当にいい旅だった。
この後、何度も色んな国にひとり旅に出るが、礎になるのはやはり初めての旅だった。
帰国便に乗り損ねてなかったら、マリーさんに会えてなかったら、きっと旅の感想も違うものになってたのかもしれないなと今になってたまに思う。
本当にありがとうございました、今でもそう思う。
こういう出会いをこの後何度かひとり旅で体験して、他のどんなものより偶然の出会いこそ自分がひとり旅に求めたものだということが発覚した。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
どの国でもそうだが、やたら饒舌なタクシードライバーや露天商はだいたい騙しに来てる。めちゃくちゃ喋るやつは後ろめたさを隠してるか、フレンドリーさを出してこちら油断させようとしてることが多い。 逆に寡黙な人は無駄な仕事はしないという感じで、上記の奴らよりは頼れる。 なにかおかしいと思ったら抗議してもいいし、タクシーなら降ろせ!とハッキリ言おう。
●コメント
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【 kanegon さん】
フィリピンが嫌いにならなくてよかったです!
タクシーに乗る際は必ずメーターがあるので、支払はメーターで良いのか確認をしてから乗車しましょう!
その金額に1割りくらい多く払えばドライバーは文句言わないと思うよ〜
【 広報チーム さいとぅ さん】
素敵です!まずこんなに丁寧にエピソードを投稿してくださったことがとてもうれしいです!!
マリーさんもご家族もなんて温かい方達なんでしょう。
日本でもし同じようなことがあったら、私も彼女のようにできる人になりたいと思いました。